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【SIerはやばい、やめとけ、将来性がない】という人の論理を解説・反証

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この記事では、「SIerはやめとけ」と説明する人の論理を解説し、反証します。

◆給与が低い

 SIer批判として取り上げられる根拠の1つが、安い給料です。理由は大きく分けて2点あります。1点目は、多重下請けというSIerの構造が、低賃金を生んでいるから、ということ。2点目は、顧客のサービスを受託するため、サービスが成功しても、SIerは儲からないから、というものです。

①多重下請け構造

SIerは、顧客企業から依頼を受けてシステムを構築するビジネスモデルですが、実際に顧客と接して仕事を受注する会社は大手SIerに限られます。仕事を受注した大手SIerは、自社だけでシステムを開発できるわけではないため、下請けのSIerに仕事を受注します。さらに、その下請けも、別の下請けに仕事を受注します。SIerはこのようにして、システム開発を行っているのです。

 SIerの給料は、顧客の企業から支払われる報酬に左右されます。大手SIerであれば、顧客と接して価格交渉を行うことで、報酬を決定することができますが、下請けの企業は、自分たちがシステムを提供する顧客と接する機会がありません。そして、顧客が大手SIerに支払った金額以上の金額は、下請けには回ってきません。大手SIerが契約した金額を、大手、下請け、孫請けで分け合うのです。

 そうなると、立場の強い大手SIerが、多くの取り分を持っていくのは目に見えていますよね。だからこそ、中堅、中小のSIerは、賃金が低くなってしまうのです。

https://youtu.be/12-wWmo7v2E


②自社サービスではないから

 SIerの仕事は、顧客のシステムを作ることです。つまりは、作ったシステムによって、どれだけ儲けがでたとしても、SIerが儲かるわけではないのです。

 具体的に言えば、グーグルの検索エンジンシステムをNTTデータが作ったとしましょう。グーグルは、一定の報酬を支払い、NTTデータにシステムを依頼します。その後、完成したシステムを使用して、グーグルは収益を上げます。この時点で既に、NTTデータへの報酬の支払いは終了しているため、グーグルがどれだけそのシステムを使って利益を上げようが、NTTデータの報酬が上がるわけではないのです。

つまり、SIerが受け取る利益は、システムに携わる人の数とその日数で計算されるため、大体決まっており、成功すれば莫大な儲けが出るようなビジネスモデルではないのです。今のビジネスモデルで、SIerとして働いても、世界の大富豪と呼ばれるような人々にはなれません。

➤反証

 SIerの給与が低いというのは、明らかな誤解で、データに基づいた意見ではありません。正しくは、「下請けSIerの給与は低い」です。私が知る限りでも、平均年収が800万を超える大手SIerは、15社程度あります。年収1000万を稼ぐことも十分に狙える業界です。これは、日本の会社員の平均年収と比較しても、かなり高い水準です。また、どの大手SIerも、少なくない数の新卒採用を行っており、きちんと対策をすれば、順当に入社することができます。よって、給与が低いという点で、SIerを一括りにして批判することは間違っています。

 また、「自社開発であれば薄給にならない」というのも誤解です。大手企業のシステム部門であれば、ある程度の給与水準は確保されるかもしれません。また、既に利益を出せるサービスが確立されたWEB企業であれば、安定的に働けるでしょう。一方でスタートアップのWEB企業であれば、自社開発した商品が売れなければ、激務薄給になります。つまり、自社開発であっても、成功しなければ薄給になる可能性はあるのです。

 まとめれば、「SIerの給与が低い」は完全に誤った表現です。ただ、一部の下請け、孫請け企業が、薄給であることは事実でしょう。また、自社開発の会社で開発をしていれば、薄給は避けられるというのも完全なミスリードです。自社開発でも稼げない人は大勢います。気になった方は、下の記事に、大手SIerの年収や売上をまとめているので、見てみてください。

SIer大手企業徹底解説!【職種・ランキング・志望動機・採用人数・年収】

◆将来性がない

 SIer批判の急先鋒として常に語られ続け、多くの就活生が気にすること。それは、SIerには将来性がないということです。このことには、2つの理由があります。1つ目は、システム構築の仕事自体が減るから。2つ目は、自社で開発した方が効率がいいから、という理由です。

①システム構築の仕事が減少

 これまでの大規模なシステム構築は、現在転換点にあります。

 これまでは、データーを管理する為に、国内にサーバーを設置していた部分も、クラウドというネットワーク空間にデータを蓄積できるようになりました。

 また、設計開発から導入までの各工程を厳密に行い、1回のサイクルで完璧なシステムを目指すウォーターフォール型の開発手法は、変革を迫られています。設計開発、導入を何度も繰り返して、アプリを運用しながら、その都度改善していく、アジャイル型開発が人気になってきたからです。

②自社開発の時代になるから

 今後、企業は、システム開発をSIerに受注することなく、自社でシステム部門を持つことになるため、SIerの仕事はなくなるという意見もあります。

 上記で説明したアジャイル開発のように、実装しながら開発サイクルを回す手法や、企業の専門領域に精通したシステムを作る上では、自社で雇ったエンジニアの方が、より良いシステムを作れると認識されているからです。実際に、デジタル化が進んでいるアメリカのシステム開発は、そのほとんどが自社のエンジニアによって行われています。そのため、アメリカにSIer企業は少数しかありません。日本もこの流れを追従するという意見もあります。

➤反証

①雇用形態の違い

 日本も今後、アメリカのように、「各企業がシステム部門を持ち、自社開発を行うようになる」という可能性は低いと考えます。なぜなら、日本とアメリカでは雇用形態が異なるからです。

 アメリカの企業は、社員のクビを切るのが簡単で、日本は簡単に社員のクビを切れない、というのが違いです。つまり、アメリカの企業は、システム開発が必要な時期にだけエンジニアを雇い、プロジェクトが終わったら、その人たちのクビを切ることができるのです。しかし、日本の法律では、アメリカのように簡単に社員をクビにはできません。そのため、自社でシステム部門を持つということはリスクを背負うことです。大きなプロジェクトの時に、社員を増やせば、プロジェクトが終わった後も、大量の社員に給料を支払わなければなりません。だからこそ、日本の企業は、SIerに外注する方が安上がりだと考えているのです。

 この状況は、今後数年で変化するとは思えません。労働者のクビを切りやすくするように法改正することは、国民の同意が得られないため現実的ではありません。景気が上向き、企業がシステム部門を抱える余裕ができるとも考えにくいでしょう。つまり、今後は日本でも自社開発が主流になるから、SIerの将来性がないということは、断言できるものではありません。

②会社の将来性と個人の将来性を分けて考える

確かにSIerを中心としたIT開発には、いくつも問題点があります(下に書いてあります)。もし仮に、その影響でSIerの業績悪化が軒並み悪化したとします。そうなると、もちろんSIer企業の将来性はありません。

SIerの業績が悪化するということは、自社開発を行う企業が増えたということです。その場合SIerの社員はどうなるでしょうか。自社開発に移行し、IT人材を必要とする顧客企業に転職するだけだと思われます。仕事をする会社が変わっても、人材はどこかから連れてこなければなりません。一般的に技術力がないと言われるSIer社員ですが、国内のIT人材の不足は顕著で、人を選んでいる余裕があるとも思えません。このように考えるならば、SIer企業に将来性はなかった場合でも、SIerに勤める社員の将来性までなくなるとは言えません。

◆客先常駐がある

 SIerに否定的な意見としては、客先常駐を理由とするものも多いです。ここでの客先常駐とは、SIerの社員が、顧客のオフィスに毎日通勤し、業務を行うことを指します。他社のシステムを開発するSIerのビジネスモデルでは、この客先常駐という働き方が出てきます。

 客先常駐によって被る不利益は、いくつか考えられます。1つは、勤務地が想定していた場所とは異なってしまうこと。2つ目は、働く環境自体がアウェーで、顧客の社員との間に壁ができてしまい、居心地が悪くなってしまうことです。実際に、楽天の社員食堂では、派遣社員が食事をできない、などといった問題もありました。

➤反証

客先常駐自体が本当に悪いものなのかどうかは、一旦置いておいた上で議論を進めます。SIerの社員は客先常駐が基本という考えも明らかな誤解です。NTTデータの社員の方が話している動画で、「客先常駐は全体の1割いるかいないか」等と発言しています。

◆ブラック企業だから

 「SIerは、ブラック企業であるから、やめておけ」というのもよく聞かれる意見です。その理由は、SIerは、顧客のシステムを請け負うため、厳格に決まった納期までに、システムを開発し、納品する必要があるから、というものです。

①顧客の損害

 自社開発とは異なり、契約の中で決まった納期があり、顧客が被る損害を考慮すると、多少無理な働き方をしてでも、納期内に仕事を終える必要があります。

②自社の損害

 もし、納期内に納品できない仕事が続けば、社の信頼は失墜し、今後仕事を依頼してもらえなくなるかもしれません。

 また、納期内に仕上げることができなければ、赤字になります。あらかじめ設定した報酬によって利益を上げるSIerは、開発期間が長引いても、追加の報酬を得ることはできません。損害を考慮して、値引きする可能性こそあっても、追加で報酬を要求することはできないのです。

 これらの理由から、納期内にシステムを完成させるために、残業、休日出勤が行われ、SIerの働き方はブラックになると言われています。


◆スキルが身につかないから

 代表的なSIer批判の1つに、「スキルが身につかないから」という意見があります。この理由は、2つあります。1つは、技術が身につかない業務内容であるから。2つ目は、技術を習得する時間がないから。

①技術が身につかない業務内容

ここでは、大手SIerと下請けSIerに分けて考えます。

 大手SIerの業務は、(1)顧客の作りたいシステムを定義し、大体の設計図を作ること、(2)計画通りに下請けが開発しているかを管理して、トラブルが発生した際に対応すること、の2つです。そのため、大手SIerの社員が、自らコードを書いてプログラミングをすることはまずありません。

 下請けの中小SIerの業務は、大手SIerから渡された設計書通りに、コードを書くことです。つまり、下請けSIerの社員が自ら考えて、工夫をする余地は大きくはないでしょう。

②技術を身に着ける時間がない

 SIer批判の中では、SIerの社員は技術を身に着ける時間がないと言われています。この理由は、先ほど話したように、SIerがブラック企業であるからです。日々の業務に精いっぱいになり、新しい技術を自らキャッチアップする時間がない、というのが批判論者の主張です。ブラックな働き方になる理由は、先ほど述べたので割愛します。

◆関連記事
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◆参考

https://mynavi-agent.jp/it/geekroid/2019/11/aruaru-37.html

https://jobrouting.jp/158/

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