本記事の内容

本記事では、大塚商会の同業他社と比較した強み、弱みを独自の視点で解説します。当サイトは、この分析を基に、選考を受けた全てのSIerで選考を通過しました。

本記事の視聴対象者は以下の方です。

  • 大塚商会に興味がある方。
  • 大塚商会の選考を受ける方。
  • 選考を通過するために大塚商会だけの志望動機を書きたい方。
  • 他のSIerと差別化ができず困っている方。
  • SIer業界に興味がある方。

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大塚商会とは

完全なる独立系SIer

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  • 大手SIerの中では珍しく、巨大なグループに属さない完全な独立系。

    NTTデータ、NRI、CTC等、大手の大半が巨大グループの一員としてSIerをやっている。しかし、大塚商会はそのような巨大なグループには属さない。大塚製薬、大塚家具とは全くの別会社。独立系というイメージがそのまま当てはまる会社。

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一族経営の企業

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  • 創業者は大塚実氏。現社長の大塚裕司氏は実氏の実息。株主順位7.8位である、大塚照恵氏、大塚惠子氏も、創業者一族の可能性が高い。元大塚商会グループで、現在は独立した(株)サイオスの取締役に就く大塚厚志氏も一族の可能性が高い。 (*この3名に関しては一族という確定的なソースはない。)
  • ただし、現在の大塚商会の役員には、大塚姓の方は存在せず、がっつり同族経営という感じはしない。

売上高8610億円/利益率6.4%/従業員数7,524人

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  • 売上高は、創業当時から一貫して増加傾向にある。創業者の実氏から裕司氏に社長が交代した2001年以降も、成長は順調に行われた。
  • 売上高が増加する中、利益率に大きな変化はなく、6%前後を推移している。今後の目標は「7%台の定着」と述べている。
  • 従業員数も単体では大きな変化はない。

事業内容

2つの柱「SI事業」と「サービス&サポート事業」

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  • SI事業
    コンサルティングからシステム設計・開発、搬入設置工事、ネットワーク構築までシステムを提供する。いわゆるSI事業。

    強みや弱みでも記載するが、コピー機やPC導入、パッケージ商材を活かしたシステム構築に特徴があると思われる。

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  • サービス&サポート事業
    CMで有名な「たのめーる」は、コピー用紙やトナーなどの消耗品から文具、オフィス用品を迅速に届ける通販サービス。また、名刺などの印刷物、生活用品、介護用品などラインアップもかなり幅広い。法人でけでなく、個人も利用でき、文具、食料品、日用品、家電、美容健康品ときりがない。大塚商会の創業当初からしばらくの間メイン事業であった。

顧客層 「中小企業が顧客の8割」

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  • 中小企業が顧客数の8割と公称している。売上高の金額的には、100億円以下の中小が5割程度を占める。他の大手SIerが総じて、大口顧客の数を強調するのとは対照的
  • これが大塚商会の強みであり、この会社を大手SIerの中で唯一無二の特徴を持つ企業としている。詳細は次章の「強み」で説明する。
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  • 中小企業を幅広くおさえていることもあり、顧客の業種もかなり多様。

職種「SEと営業の業務イメージ」

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  • システム開発の上流から保守運用までを一貫して担う。
  • 大塚商会の社員は、各工程のマネジメントを中心に従事すると考えられる。しかし、他の大手SIと異なり、単体社員数と連結子会社社員数に大きな差がないため、大塚商会の社員が実際に作業者として作業するケースも十分ありうる。他の大手SIとの差は実際にイベント等で聞くべき。
  • パッケージ商材を活かしたシステム構築が中心で、他の大手SIerと比較して実際の構築作業に人手がいらないという予想もできる。
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  • 大塚商会の営業は、他の大手SIerとは少し異なる。SIと関係ない営業もある。
  • 大別すると、担当地域を受け持つ営業と顧客業界を受け持つ営業の2つ。担当地域を受け持つ営業のうち、エリア営業はコピーを中心に全商品を営業すると思われる。もし、SIerの営業に近いイメージで業務をしたい場合には、対応する部署を探すと良いだろう。

強み

中小企業向けSI

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  • 2022年に、中堅・中小企業がIT商材/ソリューションの委託先/購入先として選ぶIT企業の社数シェアで、大塚商会は断トツの1位。
  • SI事業で5000億円もの売上を誇る企業の中で、中小企業を中心に事業を行っているのは大塚商会ぐらいと判断できる。この強みだけでも、大塚商会1社に絞れる志望動機が書ける。

営業力

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  • コピー機、蛍光灯、文房具、オフィス家具等、SI事業と全く関係のない分野でも顧客を獲得できる。そして、そこで獲得した顧客にシステムを売ることができる。逆も然りで、システムと組み合わせて、その他の用品の紹介をすることも可能。

    ITをトータルサービスするSIerの枠をさらに超えて、オフィス自体をトータルサービスできる。だからこそ、他の大手SIerとは、営業の内容で差別化できる。(自社の商材が広いため、営業はかなりの知識が求められると思われる。これはかなり大変そう。)

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  • 大塚商会は、取引のない企業に対して電話をかけ、アポイントを取るような営業もある。売上高で大塚商会と並ぶレベルの大手SIerで、このような営業スタイルを取っている企業はあまり聞かない。
  • また、支店も多く、社長は「地域営業部主体の運営をさらに深化させる」とも述べており、他の大手SIerとは地方での営業力で差別化できるだろう。

弱み

実際にはSEの割合は少ない

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  • SI事業以外の事業も行っていることから、他の大手SIerと比較すると、SEの割合が少ない。
  • 新卒採用だと、その数字はさらに下がる。SEは中途の人材が多い、または離職率が低く採用した人材が流出しない、等の原因が考えられる。弱みという訳ではないが、SE志望の学生は注意するべき点である。

IT企業としての自社ブランド

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  • 競合他社の自社開発システムの公開情報との比較や、大塚商会のエンジニアの少なさから見ても、自社ブランドのシステムは少ないと考える。もし仮にそうである場合、製品に対する技術的な深堀不足や、粗利が少なく利益率の低い事業になることが想定されるため、弱みとなる。
  • 一応、重点戦略事業と設定され、自社ブランドとして会社から推されている「SMILE」「ODS」「OSM」が存在する。これらの実態はどれも自社ブランドとしては物足りないと思われる。その理由を説明していく。
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  • SMILE
    SMILEは、大塚商会が開発している基幹系ソリューション。基幹系ソリューションとは、販売管理とか会計管理とか、人事給与とか、会社で一般的に使うシステムが全部入っているもののことを言う。このSMILEが大塚商会でもっとも目立つ自社製品。
  • しかし、2000年頃に重点戦略事業として設定した時から現在に至るまで、売上規模は小さく、全く伸びていない。他社の商材の方が優秀でそちらを販売している可能性が高いと考えられる。これでは、IT企業として顧客に誇れる自社ブランドとは言えない。
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  • ODS21
    ODS21は、文書管理系のシステム、ソリューションの総称であり、それらを組み合わせて提供している。複写機とコンピュータを組み合わせて、紙文書をデジタル複写気でデータ化し、他のデジタルデータと一緒に一元管理する。もともと複写機に強みを持っていた企業として、一緒に売り込める点で非常に親和性が高い。実際に、売上も少しずつではあるが伸びている。特に、大塚商会の自社システム「Quickスキャン」が存在する。
  • ただし、「Quickスキャン」以外だと、複合機メーカ「リコー」のシステムの取り扱いが目立つ。メーカであり、中小企業向けITのライバルでもあるリコーの製品と比較すると、ODSが強い自社ブランドとなるのは難しいと予想する。
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  • OSM
    OSMもODS21と立て付けは似ている。セキュリティ関連のサービスの総称。戦略領域として設定された自社ブランドの中で最も成長を見せているのがOSM。
  • しかし、このOSMの代表的なシステムが何かは不透明。OSMが誕生した2001年の段階では、トレンドマイクロ社のシステムが中核にあるように見える。もちろん実際の中身や、2024年にいたるまでの変更は分からないため、大塚商会でセキュリティ領域に従事したい場合は、質問してみると良いだろう。

年収

大手SIer業界の中ではやや低い

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  • 大塚商会の平均年収は856万円。大手SIer業界の中ではやや低い方。ただし、800~900万台という大枠の中には入っているため、志望理由に大きく響くような致命的な差ではないと考える。
  • 伸びがあまりないのもマイナス要素。ここ数年大手SIerの他社は給与を急速に伸ばしているため、相対的に厳しく見える。

労働環境

労働環境指標

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  • 平均勤続年数は、男性が4位、女性が6位。数値上は普通。社員が長期的に働く環境である。
  • 男性の育休取得率は圧倒的に最下位。相対的に考えると男性が育休を取りやすい環境ではない。有給取得率も11位とかなり低い。
  • *大手SIer売上上位13社内の順位。

出典:
女性の活躍推進企業データベースオープンデータ(2023年10月17日時点)(https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/opendata/

採用情報

営業職を中心に毎年300~350名程度の新卒採用

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  • ここ数年は安定して300~350名程度の新卒を採用している。2022年度は298人と減少したが、2024年度は360名を予定している。
  • 当チャンネルの視聴者はSE志望が多いと思われるため、採用部門の内訳についても説明したい。2024年度予定数360名は、営業職が210名、技術職が105名、スタッフが45名という内訳である。他の大手SIerと比較して、明らかに営業職の割合が多いため、注意が必要。
  • AIエンジニアとデータサイエンティストだけはジョブ型で採用している。当然求められる技術力は高いが、大塚商会が持つデータ量の中で仕事ができるのは非常に魅力的。