本記事の内容

本記事では、電通総研の同業他社と比較した強み、弱みを独自の視点で解説します。当サイトは、この分析を基に、選考を受けた全てのSIerで選考を通過しました。

本記事の視聴対象者は以下の方です。

  • 電通総研に興味がある方。
  • 電通総研の選考を受ける方。
  • 選考を通過するために電通総研だけの志望動機を書きたい方。
  • 他のSIerと差別化ができず困っている方。
  • SIer業界に興味がある方。

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電通総研とは

電通グループの中核子会社

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  • 電通グループにおいて、国内では電通と電通総研、そして電通デジタルが事業規模上位3社となっている。
  • 当然国内事業の中心は電通。主軸はテレビ広告とインターネット広告。近年は「マーケティング、コンサル、DX」に注力する方針を明確にしている。
  • 電通総研と電通デジタルは、その電通の方針を支える中核子会社である。電通総研はシステム開発、電通デジタルはデジタルマーティングを担っている。電通総研は、電通グループの中で電通の次に大事な企業という印象を受ける。

業界準大手のSIer

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  • 業界では準大手の位置づけ。大手SIerとは特定の領域においては競合となるが、公共金融の大規模システムで太刀打ちできるような規模感ではない。
  • 2030年までに売上高3000億円を目標としており、もし仮に実現した場合、今の日鉄ソリューションズ程度の規模感になると考えれば良い。

売上高1290億円/利益率14.4%/従業員数1842人

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  • 売上規模は毎年堅調に拡大している。ただ、正直このペースでは2030年の3000億円は夢のままである。
  • 利益率は非常に優秀で、SIerではTOPクラス。大手SIerだとNRIの16%とTISの12%が目立っている程度であり、電通総研がいかに優秀かが分かる。
  • 従業員数は規模に見合った数字。

事業内容

4つの重要セグメント

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  • 電通総研は、4つのセグメントに分かれている。売り上げもバランスは良い。それぞれに他社と差別化できる要素を持っており、準大手として珍しく、この企業だけに当てはまる志望動機を書くことは難しくない。詳細は次章の「4.強み」で解説する。

システム開発の上流工程とマネジメント

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  • システム開発の上流から保守運用までを一貫して担う。
  • 海外の子会社も多く抱えるため、電通総研本体の社員は、特に要件定義や設計等の上流工程を中心に従事すると考えられる。
  • 要件定義や設計だけでなく、開発以降のフェーズに携わる場合も、作業者のマネジメントを行うポジションが中心と想定される。

強み

日本の製造業・ものづくりを支える独自システム

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  • 電通総研は、日本No.1の構想設計システムを持つ点で、他社と差別化できる。構想設計システムとは、複雑な製品の構造を一目で理解できるようにするシステムである。
  • 自動車製造をイメージしてみたい。

    このシステムがなければ、経験の浅い社員が、無数の部品で作られる車がどのような部品やソフトウェアで構成されているかを把握するまでに膨大な時間を要する。

    また、どこか1つの部品を改良したいと考えた場合、その影響が他のどの部品やソフトウェアに及ぶかを全て把握できていなければ、たった1カ所の変更であっても、大量のバグを引き起こしてしまう。

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  • そのように考えると、この構想設計システムは、素人が見ても便利なシステムだと理解できる。当然製造業からの評価は高く、国内自動車会社の全てが導入しており、その他の名だたる組み立て製造企業も導入している。
  • Ex.精密機器のソニー、カメラのニコン、航空機の三菱、農業器具のヤンマー)

  • 「熟練設計者の暗黙知を明文化してくれる得難いツール」して顧客からも評価されている。
  • 当サイトは、構想設計システムシステムにおいては、電通総研のiQUAVISが日本No.1だと考える。他の構想設計支援システムと比較して、公開している導入実績がダントツだからである。そもそもiQUAVIS以外の構想設計システム自体が、下記の2つ以外にほとんど見つからない。ちなみに、海外だとドイツの世界的IT企業シーメンスが強い。

    株式会社図研
    CR-8000 System Planner

    株式会社富士通
    PLEMIA

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  • また、製造業向けにシステムを提供するIT企業からも、iQUAVISは高く評価されている。富士通は、自社の持つ製造業向けサプライチェーン系システムと、電通総研の持つ設計や生産準備系のシステムを合わせることで、組立製造業で国内最大級システムをデリバリーできると考えている。これは、設計や生産準備系のシステムでは電通総研の力が自社を上回っていると認めたことになる。設計や生産準備系のシステムとは、 MBSECADCAEが挙げられる。
  • 海外のIT技術者からの評価も高い。2万4000人の研究者を抱える、欧州最大の応用研究機関「フラウンホーファー研究所」と、日本企業で初めて合弁会社を作った会社が電通総研である。
  • ドイツや欧州の製造業の発展にも、電通総研の「iQUAVIS」が有用だと判断され、フラウンホーファー研究所側から会社設立の提案を受けた。
  • モビリティ系のエンジニアリング(シュミレーションやテストを含む)に特化したオーストリアAVL社の会長も、”今後、モビリティの分野では、ISIDとAVLは、ISIDの「iQUAVIS(アイクアビス)」とAVLのソフトウエア技術を組み合わせ、エンドツーエンドの検証・妥当性確認プロセスに基づくシステム開発と統合の最適化に注力します。(引用元)”と述べている。海外の数千億円の売上高を誇る企業からも、このように絶賛されているのである。

国内2強と言われる連結会計システム

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  • 子会社を抱える企業は、グループ全体の会計の把握、報告にあたり、会計を連結して管理する必要がある。その業務に使用するシステムが連結会計システムだ。
  • 当チャンネルは、この連結会計システムにおいて、STRAVISは国内TOP2の一角と考えている。
  • そう考える理由は2つある。1つは、公開されている導入実績。もう1つは、導入を提案する会計コンサルタントやメディアの論調である。
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  • STRAVISは950社への導入実績がある。また、公開されているだけで、日本国内の1兆円企業の16社に導入されていることが分かっている。特に、売上高国内No.1を争う伊藤忠商事/三菱商事が導入している。ことからも、業界での圧倒的なポジションを理解することができる。これに匹敵する導入実績を持つのは、DIVA社の“DIVA”くらいである。ちなみに住友商事はDIVA。

    Ex.伊藤忠商事/三菱商事/ANA/鹿島建設/大林組/イオン/JTB/キリン/SUBARU

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  • 会計コンサルタントや各種メディアの評価から、国内TOP2の連結会計システムは、“STRAVIS”と“DIVA”の2つであると分かる。
  • ITmedia社は、記事“国産連結ソフトのもう1つの定番「STRAVIS」が支持される理由”において以下のように述べている

    “「DivaSystem」と並んで数多くの大手・中堅企業において導入されているのが、電通国際情報サービス(以下、ISID)が提供する「STRAVIS」(ストラビス)である。”

  • また、実際に上場企業に対してコンサルタントを行う、“連結グループ経営研究所/稲田公認会計事務所”のサイトでは、以下の記載がある。
  • ““連結システム導入を考える会社が検討する例としては、有名どころでは、
    ・DIVA(株式会社ディーバ)
    ・STRAVIS(株式会社電通国際情報サービス)
    といったような連結決算システムがあります。”

  • シェアランキングのようなデータは公開情報としては存在していないが、これらの内容から連結会計システムは、この2社がTOP2と判断できる。(つまり、会計×ITの志望動機が言えれば電通総研だけに当てはまる志望動機を書ける。)
  • 電通総研は、金融向けシステムにも強みはある。地銀向けシステムでは「Bank-R」という有名な製品があり、セブン銀行等の固定顧客も抱える。しかし、大手SIerともなると、どの企業も他社と競争できる金融機関向けソリューションを持っている。よって特別強みとして述べるべきではないと考えたため、割愛する。

弱み

大規模システム開発

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  • 電通総研は、他の大手SIerと比較して、大規模システム開発の実績と案件数に弱みがあると考える。
  • 金融系システムで電通総研のポジションを見ていく。第一に規模の大きいメガバンク系のシステムを目にすることはない(少なくとも公開情報では)。規模で劣る地銀でも、大規模と想定される基幹系システムの開発は行っていない。電通総研の代表的金融系システムである「BANK-R」は地銀向けの基幹系以外のシステムである。

中途採用の多さ

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  • 電通総研の中途採用比率の高さは、大手SIer業界の中でかなり特徴的。外資のアクセンチュアに次いで2番目に高い。特に電通総研はここ数年ではなく、長い間中途社員の割合が多い状態が続いていると推測できる。
  • 今でこそ、1年の採用における中途社員の割合が30~40%台の企業が増えてきたが、2020年以前の日系大手SIerの中途採用比率は10%台が当たり前であった。
  • そのため、電通総研は他の企業と比較して、社員全体に占める中途社員の存在感は、左記の1年ごとのデータ以上に高いと分かる(Ex.電通総研は毎年50%程度採用。)。つまり過去数十年(社員全体)で考えると電通総研社員は圧倒的に中途出身者が多いと予想できる。
  • この中途社員の割合が高い状態は、「新卒社員を育成するノウハウがない」という弱みを引き起こす可能性がある。長期間中途社員の割合が多い電通総研と、新卒がメインの企業では、育成に対するノウハウに差があるのは確実である。実際に電通総研の平均勤続年数は、同業他社と比較して短く、育成環境が原因で離職者が出ている可能性も考えられる。実際の数字は「7.労働環境」でも後述する。
  • あくまで推測の域をでないが、弱みとなる可能性は考えられる。

年収

業界2番手の高年収

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  • SIer業界では、NRIに次ぐ2番手の数字。元々給与水準は高かったが、近年の高利益率をすぐに給与に反映した結果、業界2番手のポジションを手にした。
  • 所定労働時間が7時間であり、コスパも良い。調べた限りは退職金制度がないように見えるが、社員が長年勤めあげる傾向がないことを考えると、あまり影響はないように思える。
  • これを維持できれば、就活生からの人気は間違いなく高くなる。
  • ただし、2015年約870万円、2017年2018年が約890万円だったことを考えると、良くも悪くも1年で100万円程度平均年収が上下する企業であるとが分かる。短期間に、これほどの額で年収が変動する企業は、大手SIerでは他に見ない。高業績をきちんと給与に反映させる点ではメリットがある。一方で、業績が上向かない場合に給与が下がる可能性がある点ではデメリットとなるだろう。

労働環境

労働環境指標

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  • 平均勤続年数は、公開している12社の中では、男女ともに最下位。大手SIerと比較して、社員が長期的に働く環境ではない。
  • 男性の育休取得率10位、年休取得率は12位であり、最大手と比較すると全体的に指標は悪い。
出典:
女性の活躍推進企業データベースオープンデータ(2023年10月17日時点)(https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/opendata/

採用情報

新卒/経験者ともに拡大する採用

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  • 直近3年で見ると採用数に大きな変化はない。しかし、2018年が46名、2019年が39名だったことを考慮すると拡大傾向にあることは間違いない。2030年までに売上高3000億円を目指すという目標を考えると、この以上の採用数を保つ必要があるだろう。よって、採用は今後さらに拡大すると思われる。
  • また、経験者採用も拡大している。ここ数年は例年50~100名の経験者採用を行ってきたが、2022年は最も多い100名となった。2023年度も100名以上の採用を行う予定と分かっている。