本記事の内容

本記事では、日立製作所の同業他社と比較した強み、弱みを独自の視点で解説します。当サイトは、この分析を基に、選考を受けた全てのSIerで選考を通過しました。

本記事の視聴対象者は以下の方です。

  • 日立製作所に興味がある方。
  • 日立製作所の選考を受ける方。
  • 選考を通過するために日立製作所だけの志望動機を書きたい方。
  • 他のSIerと差別化ができず困っている方。
  • SIer業界に興味がある方。

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日立製作所とは

売上高国内TOPの総合電機メーカー

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  • 国内最大の総合電機メーカー。直近3年では、TOP4全ての企業が売上高を伸ばしているが、日立も負けじと拡大を続け、首位を維持している。
  • 売上高は、国内全ての企業を含めても11位。自動車メーカーと総合商社に続くポジションである。

国内TOP5のSIer/ITサービス企業

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売上高10兆8811億円/利益率6.9%/従業員数3万1683人

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  • 売上高は、ここ15年間8兆円~10兆円の間で増減を繰り返している。傾向としては2008年のリーマンショック時の8兆から回復していると言える。
  • 利益率の改善は秀逸の一言。意外かもしれないが、1998年~2013年の間、日立製作所の利益率は常に1~3%であった。リーマンショック時の大赤字を期に選択と集中を行い、2014年~2022年の平均は6%台まで成長させた。

事業内容

日立製作所の事業内容

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  • デジタルシステム&サービス
    ITサービス業が主な事業。システム開発を行っている。いわゆるSIerと考えて問題はない。
  • グリーンエナジー&モビリティ
    鉄道、送配電、原発が主な事業。原発+エネルギーと考えれば良い。
  • コネクティブインダストリーズ
    エレベーター、家電、空調、計測機器、産業機器が主な事業。まとめると、鉄道とエネルギー施設以外のプロダクト全般。
  • 3つの柱に共通するLumadaは、データから新たな価値を創出するためのソリューション、サービスの総称である。
  • システムや鉄道、電線、各種家電を売って終わりにするのでなく、それらからデータを取得、分析し、継続的にビジネスの提案をする、というのが日立の明確な方針である。

  • その「取得」「分析」「データに基づき新たなビジネス提案」するためのシステム、サービスを集めたものがLumadaなのだ。

強み

「IT・プロダクト・OT」×Lumada

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  • 「Lumadaは、データから新たな価値を創出するためのソリューション、サービスの総称である」と説明したが、これ自体は珍しいものではなく、あらゆるIT企業、コンサルファームでも可能だ。
  • しかし、データから価値を生み出すソリューションを日立製作所が実施することに意味がある。あらゆる他社と比較して爆発的に成果を出す可能性を秘めている。その理由は、日立製作所が「IT・プロダクト・OT」全てで一流の企業だからである。その理由は、日立製作所が「IT・プロダクト・OT」全てで一流の企業だからである。これこそが、日立製作所最大の強みである。
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  • データから新たな価値を創出するとあるが、“データの収集”の前提を日立は網羅していて、他社は網羅していない。日立は、IT、プロダクト、OT全てに精通しているため、デジタルと物理両方から自社でデータを収集・分析できる。以下が、IT、プロダクト、OTのイメージである。
    • ITシステム
      普通の営業管理システムとか会計システム
    • プロダクト
      送電線、鉄道、家電、工場用ロボット
    • OT
      プロダクトを動かすためのプログラム。物理的なものが存在するのがITとの違い
  • 例えば、SI業界で競合となるNTTデータや富士通でも、データ分析は可能であり、ITシステム開発のノウハウはある。しかし、プロダクトはほとんどなく、それらを制御するOTの開発も日立ほどは多くないと想定される。競合他社は、他社の協力なしに、「機器の情報や、複数の機器から統一的データを収集し分析するためのシステム基盤を提供する」ということは難しいだろう。
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  • Lumadaを使ったビジネス

    結論として、日立製作所はフルラインナップでDXのサイクルを回し続けることができると分かる。

    ITシステムの提供に加えて、それらのシステムからデータを収集分析して、さらなるサービスを提案することができる。なおかつ、エネルギー施設、鉄道、工場機器、送電線を導入した後に、プロダクトとOTからデータを収集して、さらなるサービスを提案することもできるのだ。

    エネルギー施設、鉄道、工場機器、送電線を導入した後に、プロダクトとOTからデータを収集して、さらなるサービスを提案する。

利益率と親和性の保証された広大な事業範囲

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  • 利益率と親和性の高い10兆円企業

    2000年~2015年の日立は、売上高8~10兆円で利益率は1~3%であった。それが2015年~2022年は、売上高8~10兆円で利益率が6~7%。

    同じ売上高のまま利益率だけを大きく改善させた。それは、利益率の低い事業と注力事業に親和性がない事業を売却したからである。

    構造改革がひと段落して、利益率と親和性がある10兆円のフィールドが整い、明確なビジョンがあることが日立の強み。

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  • IT・OT・プロダクトを全て幅広くできるのは日立だけ

    【IT業界との比較】 プロダクトが弱い
    ---富士通、NTTデータ、日本IBM、NEC---
    これらの企業にはエレベーターや鉄道、工場用ロボット、原発は作れない。SI事業と組み合わせられるプロダクトの幅が違いすぎる。日立の売上全事業で10兆に対して、これらの企業は1兆~3兆程度である。

    【総合電機業界との比較】 ITが弱い
    ---三菱電機---
    産業用機械、ビルシステム、発電所、家電等のプロダクトが主力。SI事業はほとんどやっていない。SI事業と組み合わせられるプロダクトの幅が違いすぎる。日立の売上全事業で10兆に対して、これらの企業は1兆~3兆程度である。
    ---パナソニック---
    家電、産業用機器、OTが主力。SI事業の売上はないと思われる。

世界TOPを狙える領域

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  • 送配電事業

    送配電事業では日立が世界首位。(おそらくシェア10%程度。)

    送配電事業とは、発電所で発生した電気を、電気を使用する地点まで、送電線、配電線などで送り届けることが主な事業。再生可能エネルギー市場の拡大や新興国での電力網の整備から将来性は明るい。スイスのABBのパワーグリッド部門を買収したことで首位にたった。電力の流通の最適化にLUMADAを使うことが目的であり、相乗効果が期待される。

  • 鉄道事業

    世界第6位、国内第1位の売上を誇る鉄道事業。2021年3月には、ワシントンの地下鉄車両を2400億円で受注。最大800両とも言われる。成長率もGood。

    2014年売上高1682億円 海外比率35%
    2017年売上高4979億円 海外比率83%

弱み

海外企業との競争

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  • 海外企業との競争

    IT×OT×プロダクトの結晶とも言える、産業系IoTプラットフォーマとしては、国内で対抗できる企業はないと思われる。しかし、日立と同様の強みを持つシーメンス社、全てで一流のGoogle社との競争が待っている。

    実際に調査会社の評価では、日立のLumada、シーメンスのMindSphere、GoogleのAzureIoTは拮抗状態とされている。日立が業界を独占しているわけではなく、今後も競争は続いていく。

LUMADAの実態

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  • ここまで「Lumadaは、データから新たな価値を創出するためのソリューション、サービスの総称である」と述べてきた。しかし、そのソリューション、サービスの中に世界を代表するようなコアソリューションがあるようには見えない。少なくとも公開情報からは分からない。
  • LUMADAの名のもとに、個別のソシューション/サービスを当てはめているだけであるならば、競争力は上がってこないと予想する。

年収

業界上位の年収

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  • 日立製作所の平均年収は915万円。SIer業界、総合電機業界両方の大手企業と比較しても上位に入る給与。伸びも順調。
  • また、安定的な利益率を実現しており、今後の見通しも明るいと予想する。
  • ちなみにIT総合電機企業の中で、1億円以上の報酬を得る役員が最も多いのが日立製作所であり、20名である。

労働環境

労働環境指標

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  • 平均勤続年数は、男性が4位、女性が3位。社員が長期的に働く環境である。
  • 育休取得率も年休取得率も中盤であり、全体的にバランスの取れた指標が出ている。
  • *大手SIer売上上位13社内の順位。

出典:
女性の活躍推進企業データベースオープンデータ(2023年10月17日時点)(https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/opendata/

採用情報

安定した新卒大量採用と拡大する経験者採用

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  • ここ数年は安定して500人~600人程度の新卒を採用している。直近2年は500人に減少したが、2024年度採用人員計画では、650人を予定している。
  • また、経験者採用も急速に拡大している。新卒・経験者採用の割合を1:1にすることを計画しており、2015年度に150人だった経験者採用は、2023年度に600人になる予定。実際に各種転職サイトの求人でも増加している印象はある。
  • 新卒と経験者採用の比率が1:1となるのは日立製作所の歴史上初である。