本記事の内容

本記事では、NTTデータの同業他社と比較した強み、弱みを独自の視点で解説します。当サイトは、この分析を基に、選考を受けた全てのSIerで選考を通過しました。

本記事の視聴対象者は以下の方です。

  • NTTデータに興味がある方。
  • NTTデータの選考を受ける方。
  • 選考を通過するためにNTTデータだけの志望動機を書きたい方。
  • 他のSIerと差別化ができず困っている方。
  • SIer業界に興味がある方。

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NTTデータとは

日本No.1のSIer

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  • 国内のSIerでは売上高でトップ。競合となるのは最大手の富士通/NEC/日立/日本IBM。最大手の中では、唯一ハードウェアや家電等のプロダクトは持っていない専業Sler。
  • 専業Sler企業では、圧倒的な規模を誇る企業。誤解している就活生も多いが、NRIやCTC、SCSKとは規模感において圧倒的な差があるため、大規模システムではもはや主要な競合にはならないと予想される。以下に各ベンダーの事業領域ごとのシェアが書いた資料のリンクを貼っておきます。
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解説記事:SIer大手企業一覧/主要企業24社徹底解説

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  • 長期間の安定的で堅実な成長に加えて、近年の海外企業M&AとNTTグループ再編によるNTTグループ海外事業の吸収が、世界を代表するITサービス企業の地位を確かなものとした。
  • 他の日系SIerの海外事業とは質の面でも異なる。ありがちな日本企業の海外事業支援による海外売上ではなく、現地企業として現地で売上を上げており、本当の意味で世界を狙える日本企業。
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NTTグループの次期エース

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  • 第一にNTTグループの全体像を抑えたい。本格的な再編が実施された2.3年前までは、左記の5社がNTTの中核企業であった。
  • 固定電話の東日本西日本、携帯電話のドコモ、システム開発のデータ、インターネット通信回線のコミュニケーションズである。
  • これらの前提を踏まえて、NTTデータがNTTグループの次期でエースである理由を説明する。
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  • NTTグループの従来の中核事業は、NTT東西の固定電話とインターネット回線、NTTドコモの携帯電話回線である。しかし、これらの事業は軒並み国内市場が対象であり、今後は縮小することが予想されている。
  • その状況の中、NTTデータは国内で堅調に伸び続け、海外でも大きな事業規模を持っている。NTTcomの海外事業の統合したことでNTTグループの海外担当の地位は明確になった。また、今後のNTTグループ共通の注力分野であるコンサルティングにおいても、グループ内では一歩抜けている。

売上高3兆4901億円/利益率7.4%/従業員数6782人

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  • 売上規模では、国内SIer業界で一位。ここ15年の伸び率でも他を圧倒している。M&Aと組織再編の影響を差し引いても、堅調に成長を続けてきた。
  • 利益率は大手SIerの中では悪い方。15年間一向に改善が見られない。

事業内容

システム開発の上流工程とマネジメント

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  • システム開発の上流から保守運用までを一貫して担う。
  • NTTデータ本体の社員は、特に要件定義や設計等の上流工程を中心に従事すると考えられる。
  • 要件定義や設計だけでなく、開発以降のフェーズに携わる場合も、作業者のマネジメントを行うポジションが中心と想定される。

強み

金融・公共の強固な基盤

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  • 金融/公共分野は、NTTデータの強固な収益基盤を支える二枚看板。この会社でしかできないことの宝庫。
  • 法人は、単純な見かけでは競合他社との差別化が難しく、NTTデータ固有の強みを説明するのに時間がかかるため、本動画では割愛する。
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  • 金融機関の勘定系では、日本で圧倒的なシェアを誇る。勘定系とは、金融システムの中心を担う主役で、主に最大手のSIerが担う。参考資料の3つ目のURLには、銀行業務を支えるITシステムの全体像が示されているのでイメージを掴みやすい。勘定系のベンダシェアを整理した記事はこちら。動画はこちら
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  • 各金融機関が持つシステムは、誰かが繋がなければ決済はできない。そのハブを果たす役割をNTTデータは大量に担っている。
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  • CAFIS(抜粋)クレカ会社と加盟店をつなぐシステム。クレジットカード会社と加盟店間をオンライン回線で結んで、利用限度額やカードが不正使用されていないか等の有効性のチェックを行う。クレカを機械に差し込んだら大体CAFISを経由してる。国内ほぼすべてのクレジットカード会社や金融機関と提携する日本最大のシステム。日本のキャッシュレスをほぼ独占的に支えているNTTデータの看板システム。今後、無人店舗等の新たなキャッシュレス社会への応用も期待できる。
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  • 官公庁、地方自治体、インフラ、医療、貿易等全てでNTTデータでしか関わることのできないシステムが存在するのは大前提。
  • その中でも、航空系のシステムと救急医療を支えるシステムは他のSIerでは滅多に見ないため、ピックアップして解説する。
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  • TEPS:航空路管制処理システム。
    国内全空域の航空機位置をリアルタイムに補足する、航空管制官が使うシステム。これがないと日本で飛行機は飛べない。
  • PANADES:飛行経路設計システム。
    画面上で必要な項目を入力してボタンを押せば、航空機の性能や飛行エリアの地形、周囲の建物などを考慮した複雑な計算を自動処理して、安全な飛行経路を設計できる有能システム。
  • 航空会社の業務システム、予約システム、HPを作成するSIerは山ほどある。しかし、航空交通を支えるシステムを主導できる会社は日本でNTTデータだけと思われる。
  • ※公開情報を基にするとNECでも少し記載は見られるため、志望動機で述べるときは両社の違いを調べ、NTTデータでなければならない理由を述べること。

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  • 日本の救急搬送を支えるシステム。医療機関と指令センター間の患者受入可否や患者情報の共有し、救急車が一秒でも早く病院に到達できるようにしている。自動運転技術と組み合わせた実証実験も行っている。
  • 公開情報を見る限りは、NTTデータがこの領域で圧倒的なシェアをもっている。この会社でなければできない非常に公益性の高いシステム。

    ※救急医療情報システム(通常時)
    ※広域救急医療情報システム(災害時)

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  • デジタルアーカイブシステム「AMLAD」
    歴史的資料のデジタル化を行うシステム。他社の資料でも目にはするが、競合となる規模のレベルで実施しているのは日本IBMくらいに見える。
  • 貿易システム「NACCS」
    船舶・航空機の入出港、税関手続き、荷物の引受、引取など貨物管理に至るまで、輸出入に関わる一連の手続き全部行う。日本の貿易の98%がNACCSの処理。航空貨物も海上貨物も両方やってる。東南アジアでも採用されている。
  • 他にNTTデータでしかできない公共系の事例はたくさん存在する。自動車登録系システム・マイナンバー関連・法務省不動産登記等。
  • ※自分のやりたいことに狙いをつけて、他のIT企業では実施していないかを調べてみると志望動機は完成できる。

スマートシティ

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  • NTTデータは、スマートシティ領域でも大きな存在感がある。国内外両方の事例で、世界に先駆けたスマートシティを主導できる日本のSIerはNTTデータだけと推測できる。
  • 国内のスマートシティ事例で最も先進的で本格的なのはトヨタのWovenCity。WovonCityに関してはトヨタとNTTの業務資本提携を行っており、WovonCityの基盤はNTTGで開発している。
  • スマートシティに関して業務資本提携まで結んでいるSIerは他にない。スマートシティを都市ごとイチから作る仕事を主導できるのは、国内でトヨタとNTTしかできない。
  • ※通信事業者であればKDDI等はある。

  • 海外ではラスベガスの受注は非常に大きい。この規模の本格的なスマートシティ案件を受注した日本企業はSIerという枠組みを超えて他にない。これはNTTGであることが大きい。通信に強い他のNTT各社と合わせた総合力で勝負できる点が、NTTデータがスマートシティ領域で最も活躍できるSIerである根拠となる。
  • ラスベガス市を皮切りに、米国内で他のスマートシティ案件も受注している。書籍も多数あり、情報の収集は容易。

マルチベンダー×超大手SI

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  • マルチベンダーとは、システムの構築に自社の製品を使う必要がなく、様々な会社の製品を組み合わせることができるSIerのこと。
  • 公共金融で大規模開発を行える5社の中で、自社でハードウェアを開発していない企業はNTTデータのみ。つまり、①日本で大規模なシステムを②最適な製品を組み合わせて作りたいというのは、説得力のある差別化になる。
  • NRIや伊藤忠テクノソリューションズはマルチベンダーという枠組みに含まれる。これらの企業に関しては、やりたいシステムがNTTデータでしかできないことと掛け合わせて、志望動機を述べることが必要。
  • SIerの規模感について考察した情報は、概要欄のWEBサイト版に記載。

採用戦略

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  • 楽天みん就新卒人気企業ランキングでは、総合ランキングでは2位、IT業界では1位をマーク。その高順位も長期的なものであり、優秀な人材を継続して獲得できていることが分かる。YouTubeでのNTTデータ関連動画の再生回数や就活サイトの企業登録数からも、人気企業であることが分かる。
  • 一方で注意点もあるため、こちらで解説する。
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  • NTTデータが公式にレポートでアピールしているのは“楽天みん就”の結果だが、これはNTTデータにとって最も都合の良い結果を掲載している。
  • 東洋経済とマイナビ/日経のランキングではより順位が低く、有効回答数が楽天よりも多いそちらの方が実態に近い可能性がある。
  • 人気企業であることは間違いないが、このような点には注意が必要。

弱み

一向に改善しない利益率

企業の特色で選ぶおすすめ企業特集
  • NTTデータの利益率が低いのは、ひとえに海外部門の利益率が低いからである。
  • 国内事業の利益率は、公共金融法人全てでバランスよく10%を記録している。M&Aを始めて海外に本格的に進出した2008年以前の国内事業の利益率は7~8%であり、国内事業は確実に利益率を上げていることが分かる。 増収増益との主張が目立つが、売上高が大きい企業が必ずしも利益をあげるとは限らないため、就活生は注意が必要。
  • また、NTTデータはこの15年間利益率の向上を第一の目的としていたわけではない。一貫して海外事業の拡大、グローバルTOP5が目標であった。利益率を重視していたら、今の世界でのポジションは不可能であったと考えられる。
  • 海外M&AとNTT再編で規模の拡大は急速に実現されている。これからが本当の勝負である。

待遇の伸び悩み

企業の特色で選ぶおすすめ企業特集
  • SIer業界で最も売上高が高く、事業領域も広く、人気も高いNTTデータだが、待遇面で考えると他社に後れを取っている。伸び幅も相対的に大きくない。
  • 規模や顧客層の似ている富士通や日立よりも劣り、規模が小さい他の大手SIerにも大きな差をつけられている。待遇を重視する方は、イメージに左右されることなく、冷静に判断する必要がある。

年収(弱みで解説したため割愛)

労働環境

労働環境指標

企業の特色で選ぶおすすめ企業特集
  • 平均勤続年数は、男性が8位、女性が11位と低い。男女ともに低いが女性は特に低い。ただし、この数値は“転職希望者が多い”や“人材が優秀で他社から必要とされている”等の複数の原因が考えられる。よって、必ずしも労働環境が悪いことを示すわけでない。
  • *大手SIer売上上位13社内の順位。

出典:
女性の活躍推進企業データベースオープンデータ(2023年10月17日時点)(https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/opendata/
企業の特色で選ぶおすすめ企業特集
  • 一見ホワイトのイメージがあるNTTデータだが、数値で見ると、男性の育休取得率は40.9%と12位。女性は他社と差はない。育休取得率は、育休取得世代以外の業務負荷増にも繋がる可能性があるため、人によって数値の捉え方は変わる。
  • *大手SIer売上上位13社内の順位。

企業の特色で選ぶおすすめ企業特集
  • 有給取得率は流石の1位。有給の日数自体は企業ごとであまり差はないため、率が多いNTTデータが最も有給を取得できる企業と言える。90%を超える率の高さは、取得が常識となっていることを示す可能性が高い。
  • *大手SIer売上上位13社内の順位。

採用情報

採用人数は多く、文系にもチャンス

企業の特色で選ぶおすすめ企業特集
  • 2006年から安定して400人~500人程度を採用している。採用人数はかなり多く、チャンスはある。
  • 2022年は文系254名、理系297名と、2006年以降最も文系の比率が高くなった。
  • YouTubeの情報からインターンの優遇はあると分かるため、逃すことなく狙いたい。選考のコツは、別動画「大手SIer内定の教科書」をご覧ください。